スケート一筋から、海外を目指すまで〜

インタビュー by まゆか

  • Mさんの基本情報
進学先 University of California Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)
専攻 Sociology
副専攻 Gender Studies, Creative Writing
GPA(4段階) 3.9
TOEFL・IELTS TOEFL 104点
SAT・ACT ACT 28
主な課外活動・受賞歴 フィギュアスケート、エッセイコンテスト、スピーチ大会、SGHなど
合格した大学 (米)UC Berkeley, UC Santa Cruz
(日)一橋大学 <一般入試>
卒業年度 2021-2025
出身高校 地方国立
IB・AP どちらも受けていない
受験校数 合計7校
(米)リサーチ大学と州立大学を計6校
(日)国立1校 <一般入試>
  • 海外進学を考え始めたきっかけはなんですか?  
  • 小さい頃からスケートの大会等で、何回も海外を訪れるうちに、いつか海外に住みたいと思うようになりました。そのためには海外で仕事ができるようにならなくてはいけないと考えた時に、海外の大学に進学するのが第一歩になるのではないかと思ったのがきっかけです。海外の大学は学費が高いのがずっとネックになっていたのですが、JASSO、柳井正財団など、アメリカの大学であればそれなりの数の奨学金があることがわかり、アメリカを目指すようになりました。
  • 受験する際に、大学でやりたいことは決まってましたか?
  • ざっくりとしか決まっていませんでした。ジャーナリストになりたいという夢があり、それに関連する分野をやろうということは決めていました。とりあえず、幅の広い社会学を選んでおきましたが、その中で専門的に学びたいことは決まっていませんでした。
  • ジャーナリストに興味を持ったきっかけは何ですか?
  • もともとは、スケート選手を目指していましたが、だめだった時のために、他の道も考えていたときに、ジャーナリストに興味を持ちました。

    小さい頃から海外に興味があったので、朝日新聞のGLOBEという欄を読んでいて、海外の情報や、ライターさんが書いた話を読むのが大好きでした。私も色々な国を旅したり、住んでみたりしたかったので、そのような記事を書ければと思っていました。

    また、『スポットライト 世紀のスクープ』という映画に感化された部分も大きいです。ボストンを舞台に、カトリック教会の神父の悪行を暴いていく映画です。ジャーナリストの活躍がとてもかっこよく、私も社会的にインパクトのあるストーリーが書きたい!と思うようになりました。
  • 海外進学に関して、周囲からの反対はありましたか?
  • 最初は、親からの猛反対に合いました。そもそも、親としては日本で良い大学・良い企業に入って欲しかったというのもありましたが、お金の面でも反対されました。また、学校の先生にも、いくら高校の英語ができたとしても、現地の大学の授業を英語でできるのか?現実的に考えている?と心配されていました。周りに海外進学をしていた人がいなかったので、そもそもそんなことができるのか?といった反応が多かったです。

    ただ、仲良くしていた先生の中には、Mさんは海外に行った方が良い、行けると信じていると応援してくれた先生もいました。そんな先生を交えて親とも話し合いをして、結局は奨学金を得ることができれば留学をしても良いという条件に持ち込みました。また、日本の国公立も併願することになりました。
  • 志望校はどうやって選びましたか?
  • 主に、必要とされているテストスコアで決めました。

    海外の大学を受ける許可を得たのが遅かったため、ACT・TOEFLなどを受ける時間が全くなく、ほぼ一発勝負でした。自分のレベルが全くわからなかったのもあって、大学をどう選べば良いのかもよくわかりませんでした。結局、テストスコアがあまりよくなかったので、各大学が公表している統計を基準に、社会学が強そうな大学の中でテストスコアがあまり高くなくても入った人の例があるところを狙いました。

    また、その前の年に交換留学で二週間くらいアメリカに行き、UCLA(University of California, Los Angeles)のキャンパスを見て憧れていました。UCLAに出願する前提で、同じアプリケーションでいっぺんに出願できるUC (University of California) 系列を主に受けました。

    また、有名な卒業生を調べたり、大学からの奨学金を比較的得やすそうな大学も調べました。
  • エッセイに書いたことの中で印象的なもの、自信があったエッセイはありましたか?
  • 二つあります。

    一つ目は、スケートに関することを書いたものです。小さい頃からずっとフィギュアスケートを続けていて、オリンピックやプロを目指していました。生活の90%くらいをスケートが占めてきていて、友達と遊ぶことはもちろん、勉強にもほとんど時間を割けていませんでした。ところが、高校に入ってから怪我で挫折をしてしまいました。それから、どのようにして次にやりたいことを見つけたか、自分のアイデンティティを取り戻したかということを書きました。

    二つ目は、ずっと日本に住んできた中で、どのように英語力を上達させたかということを書きました。例えば、登下校の際にずっと単語帳を暗記していたことや、英語の本を読んでいたことなどを紹介しました。
  • 課外活動はどのようなことをしましたか?
  • 私の場合は少し特殊だと思います。高校の途中、怪我をするまではスケート一筋で、ほぼ全ての時間を取られていました。

    他には、主にスケートができなくなってからですが、スピーチ、エッセイ、作文などのコンテストにちょこちょこ出場したり、学校の研究活動をするクラブ活動に所属して、学校外でも研究に携わったりもしていました。高校2年生の時には、住んでいた市が経営しているプログラムや、姉妹都市への交換留学、翻訳のボランティアなどをしたこともありました。とはいえ、結局は主だったのはスケートでした。

    コモン・アプリケーションに書いた受賞歴も、半分はスケートのことで、他にスピーチ大会や、エッセイの全国大会の賞、学校代表でSGHの研究発表をしたことなどを書きました。
  • TOEFL・ACT対策はどんなことをしましたか
  • 時間的にも、経済的にも、塾に行く余裕はありませんでした。コツコツと習慣的に英語の単語は覚えていたので、とにかく過去問の量をこなしました。公式の問題集と、少し難しいと言われている非公式の問題集を買って、合間の時間にどんどん解きました。ACT関しては、過去問がたくさん載っているサイトを見つけ、とりあえず全部ダウンロードしました。スピード命のテストなので、時間を測りながら、過去問を解きまくりました。
  • 誰に推薦文をお願いしましたか?
  • 一人は高校1、2年の担任で、交換留学や研究活動の学校代表云々などでお世話になった、一番仲の良かった先生にお願いしました。

    もう一人はネイティブの先生で、一年生からお世話になっていました。英語を特に頑張っていたというのもあって、その人の授業の成績はずっと良かった上、エッセイも見てもらっていた先生なので、きっと自分のことをアピールしてくれると思って頼みました。
  • 受験のプロセスの中で一番苦労したことは何ですか?
  • 一番は、親を説得することです(笑)

    もう一つ大変だったのは、圧倒的に情報が不足していたことです。学部留学に関する情報がなかなかなく、交換留学をしてみても、身近なところにあったのは短期や語学留学のことばかりでした。そのため、出願に必要なことのイメージが全然掴めていませんでした。テストの準備の仕方、アプリケーションの書き方、いつまでに何をすれば良いのか、出願のサイトはどうやって使うのか、などです。全部インターネットで調べながら出願しましたが、それを、さらに先生に説明するのも大変でした。出願するまではとにかく苦労ばかりだったのを覚えています。

    テストやエッセイを書く作業は、むしろ何をすれば良いのかそれなりに掴みやすかったので、楽でした。
  • 受験中にやっておいて良かったと思うことは何ですか?
  • 日本の受験と両立する上で、自分なりに時間配分を決めていたのは良かったと思います。やることが多いなか、両方にうまく時間を割けたと思います。

    周囲には、あまり勉強しなくても東大に受かっている人もたくさんいましたが、私はすごく勉強していました。そのためやることが多く、海外に関しては先が全く見えず、でも浪人は嫌だと思っていたので、精神的に病みそうになっていました。

    親にはあまり相談できず、友達もどう声をかけて良いのかわからないと思われていた気がします。そこで、海外を勧めてくれた先生に相談したら、相談に乗ってくれました。これが、すごく良かったと思っています。絶対受かるから大丈夫と言ってもらえて、誰かそう言ってくれる人がいるだけで、精神的にずいぶん楽になるんだなとわかりました。その先生は、受験よりも入学してからの方が大変だろうからと言っていましたので、受験結果よりも入学してからのことを考えて勉強できるようになりました。信頼できる先生などに相談するのは、とても大切だと思います
  • 逆に、やっておけば良かったと思うことはありますか?
  • 留学フェローシップなど、留学のサポートをしてくれる団体に頼ってみれば良かったと思います。全部一から自分で調べて出願したのは、余計なストレスになったので。

    贅沢な話ですが、キャンパスビジットもすれば良かったと思っています。そんな余裕は全くありませんでしたが。絶対ここに行きたい!という大学があれば、出願に対するモチベーションも変わってきたのかなとは思います。ただ、アメリカは日本と比べるといくつもの大学に出願できるので、一箇所に賭けるのではなく、行ってみたら面白いだろう、くらいの漠然とした憧れで出願するのが醍醐味だとも思っています。私の場合は、どこかの大学に憧れていたのではなく、アメリカに行きたいという気持ちが大きかったので、そのギャンブルのような要素も楽しんでいました。
  • 日米併願についてアドバイスをお願いします!
  • 日本の大学選びは、親の願望なども合わさって背伸びすることもあるかと思います。アメリカも日本も準備を進めるとなると、モチベーションを保つのは大変です。海外が全部ダメだったとしても、ここなら楽しく通える!と思える大学を探してください。

    それでも、日本とアメリカの受験は、日本が一般受験だったのもあり、タイプが全然違いました。準備した内容はほとんど被らなかったので、やることもストレスも増えるだけでした。必要がないのであれば、併願はあまりお勧めできません。可能な限り、滑り止めもアメリカで受けるべきだと思います。例えば、UC(University of California)系列なら、受ける大学の欄のチェックマークを増やすだけで、滑り止めの大学を受けられます(カリフォルニア大学系列は、同じ願書を系列内の全ての大学に送れるため)絶対に受かると思える場所を確保するのは精神的にも大切だと思うので、ぜひ参考にしてください。
  • 最後に、受験生にメッセージをお願いします!
  • 頼れるものには何でも頼りましょう!サポートしてくれる先生などには、積極的に相談もしに行くとよいと思います。海外を目指す人のネットワークを探すのも良いですね!

    私は少しでもわからないことがあるとストレスになったので、こんなにメールすると失礼かな?と思うところまで大学のアドミッションに質問をしていました。「高校の中でも少しレベルが高い授業はAPとなりますか?」「そもそもAPってなんですか?」などなどです。

    選考基準がブラックボックスなアメリカならではの、どこに行くことになるのかわからない感覚を楽む!という心意気で頑張ってください!

編集者ひとこと

スケートに対しても、海外受験に対しても、その時々の目標に向かって全力でぶつかっていく姿勢がとても素敵だと思います。目標のために、頼れる人に相談したり、わからないことはどんどん質問するなど、積極的な姿勢でいることはとても大切なことですよね。どんな場所にいても頑張れるMさんの、どこの大学に行くかわからないという状況は、一周回って賭けみたいで面白い!という考え方がとても響きました。

  1. University of Chicago

    自分にこだわった先で生まれるアイデアと行動力

  2. University of Sussex

    留学を決めるのに「遅すぎ」はない!決めたら突き進むのみ!

  3. Imperial College London

    チャレンジ精神は大切に!

  4. Imperial College London

    後悔の無い受験にするために。英米併願者が語る、受験との向き合い方

  5. University of Oxford

    諦めなければ道はある!「自分がやりたいこと」を大切に!!

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