- Lilyさんの基本情報
進学先 | University of California, Berkeley(カリフォルニア大学バークリー校) |
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専攻 | Molecular Biology |
海外滞在歴 | 7年(小学校〜中1) |
GPA(4段階) | 3.9 |
TOEFL・IELTS | TOEFL 116点 |
SAT・ACT | SAT Reading 740 Math 800 |
主な課外活動・受賞歴 | 医学に関するサマーキャンプ、医学系論文の翻訳、 模擬国連、ディベート大会 |
合格した大学 | (米)University of California, Boston University, 他 |
卒業年度 | 2021-2025 |
出身高校 | 都内私立 |
IB・AP | どちらも受けていない |
受験校数 | 合計12校 (米)リベラルアーツ3校、リサーチ大学9校 |
- 海外大学進学を考えるようになったきっかけは?
- まだアメリカにいた頃、まわりの友達はもちろんみんな、米国大進学を考えていた。まだ中学生だったけど、その頃から友達と大学の話をし始めていたので、それの影響もあって自然と米国大進学を考えるようになった。
あと、その時点で日本語より英語の方がずっと上手だったし、学術的な会話とか表現にしたって英語の方が上手に使えたから、大学はアメリカに行こうって決めてた。
むしろ日本の大学っていう選択肢を考えてなかった。
- 受験する際に、大学でやりたいことは決まってましたか?
- その時は決まっていると信じてた。
Pre-med(大学院の医学部進学を目指す人)になって、医学部に行こうと思ってた。医学が好きで、心臓手術の外科になるのが夢だったから、高校の課外活動もその方面(心臓手術)を中心に進めてた。だから、出願時点では、はっきりと、やりたいことは決まっていた。
でも、今は違う。
今は Genetic Engineering(遺伝子工学)に興味がある。それまでは、手術で病気を治そうと思ってたけど、今は遺伝子工学と Bio Chemistry(生化学)で病気を治したい。病気を治したい、という意味ではやりたいことは変わってないんだけど、その実現方法が自分の中で大きく変わった。
- もともと医学、心臓手術に興味を持ったきっかけは?
- 小学校の時のボランティアで、障がい者の子供たちと一緒にご飯を食べて遊ぶっていうプログラムに参加していた。その時は特にボランティアの意識はなく、ただ毎昼、学校の友達と一緒に、障がい者の子供たちとご飯を食べていた。
そのプログラムの中ですごく重症の心臓病の子と出会って、実際に本当に苦しんでいるのを何度も見て、そのときの記憶がずっと自分の中にあって。それから、学校でも色々な勉強をしているうちに、少しずつ、心臓手術というものに興味を持つようになっていった。
- やりたいことが変わったきっかけは?
- 大学に行って、Existential Crisis が起きた。つまり、アハ体験をした。
医学部に進学したい人は、だいたい普通、始めは生物基礎、化学基礎の授業を取るんだけど、その授業の中で、科学の裏にある、根本的な Physical Sciences(物理科学) の面白さに気づいて。そのおかげで、お医者さんになるというよりも医学、科学の裏にある Fundamental Sciences についてもっと知りたい、探求したいって思って、 Pre-medをやめた。
- 海外進学に関して、周囲からの反対はありましたか?
- 母親もアメリカの大学に通っていたから、親には反対はされなかった。
高校は海外大学留学がもともと盛んだったし、サポートも手厚かったので、先生にも反対されたことはなかった。
ただそもそも、もし仮に親とか高校から反対されても絶対に行きたいと思ってたし、奨学金とか経済面でも絶対になんとかするっていう覚悟を決めてたから、反対されたとしても絶対に留学の決意は曲げなかったと思う。
- どうやって志望校を決めましたか?
- まずは研究が強いところ、サイエンスが強いところで選んだ。サイエンス分野の世界大学ランキングを参考にしていた。
次に、YouTubeでその大学に通ってる学生のブログみたいな動画を見るようにした。“10 best things to go to 〇〇 university and 10 stressful things to go to 〇〇 university” みたいな動画をよく見ていた。大学選びのためだけじゃなくて、シンプルにその動画を見るだけで楽しかった。 学生の愚痴とか、そういうのを聞くのは面白いし、やっぱりリアルな学生の声だから、大学のことがよくわかってよかった。
あと、ロケーション。都市への近さも大事にした。都市部は嫌だったけど(特に高校が都会にあったから)、都市部のオポチュニティーへのアクセスが悪くならない、電車で行けるくらいの距離の距離にあるのが理想だなって思った。
最後は治安かな。安心して大学生活を送りたいから。もともとアメリカに住んでいた時はNYにいたから、東海岸に関しては行ったことがある地域も多かったから、自分の感覚でなんとなく治安状況はわかったし、あとはネットで治安を調べた。
- エッセイはどうやって書き進めていきましたか?
- とにかく「自分」を理解するために、何時間も何十時間も使った。
はじめは、自分の中のベストな部分、綺麗な部分だけを見せたくて、自分がいかに熱心で、積極的で、思いやりがあって、、、みたいなことをエッセイに書いていた。ただ「良く」見せたくて、自分のパーソナリティーの中の、綺麗な言葉だけをひたすら表現していた。
でも、そうやって エッセイ書いていたら、なんだかそれは自分じゃない感じがして。自分は本当は悪い人間だって言いたいわけじゃなくて、自分の中にも綺麗な部分はあるんだけど、ただなんとなく、綺麗な部分だけを見せるのは、なんだか自分自信を無視しているように感じた。それに気づくまでに時間がかかった。
だから、一番印象的なエッセイは、自分の「欠点」を表現したエッセイだった。
- 一番印象的なエッセイについて、詳しく教えてください。
- 時間とともに少しずつ忘れられていく友人関係について書いた。
始めはこれを書きたくなかったし、自分の完璧じゃない部分をわざわざ伝えたくもなかった。でも、それも含めて自分だから。
全ての友情を永遠に続けることなんてできないし、それでかまわない。自分は完璧じゃないし、なりたい自分に100%なれることなんてできない、っていう気づきを、自分の価値観を交えながら表現できて、すごく納得のいくエッセイになった。
自分の中の、良い面も悪い面も、両方に向き合えたエッセイが、私にとって一番印象的なエッセイだった。
- 課外活動はどんなことをやりましたか?
- 全部で10個報告した。
模擬国とか英語ディベートもやっていたんだけど、ここでは医学面にフォーカスして話そうと思う。
高校1年の夏、外科医になりたい人向けのサマーキャンプがボストンであって、それに参加した。ちょうど中3~高1のときに、医学とか手術とか心臓のことを学ぶのが面白いなって思い始めていて、せっかくだから、時間のある夏休みに1回、どっぷりそのフィールドにつかってみようって思って参加を決めた。朝から夜まで自分と同じような人に囲まれて、医学について、外科医になることについて考え続けて、話し続けた。で、それがすごい楽しくて。だから、私は医学が好きなんだって確信することができた。
もちろんこれはボストンでのサマーキャンプで、自分がこれに参加できたのはすごく恵まれているっていうのもわかってるけど、でも、このマインドセットは誰にでも応用できると思う。
もし何か気になることがあるんだったら、その分野について詳しい人や場所に行って、どっぷりつかって全力で取り組んでみて。もしかしたら、その分野を嫌いになるかもしれない。それでも、自分はその分野には興味がないんだ、っていうことがわかるし、それは自分と向き合う上で十分な収穫。逆に、どっぷりつかって、もっとその分野が好きになったんだったら、それは自分が突き進むべき道を見つけたってことだから。だから、ちょっとでも好きなら、気になるなら、時間があるなら、 Try it !! きっと自分と向き合ういい機会になると思う。
医学のサマーキャンプはその分野を好きになった例だけど、逆に嫌いになったこともあって。高2のときに友達に誘われてビジネスコンテストをやってみたけど、本当に全然楽しくなくて。だから、自分はビジネスとか経済には向いてないんだなって気づけてよかった。
- 課外活動を進めるにあたって、何を大事にしましたか?
- 正直みんな、課外活動との向き合い方を変えた方がいいと思う。
ほとんどの人が、
「課外活動をやらなきゃ → 何をしようか?」
っていうマインドセットを持ってるけど、でも、本当だったら、
「この分野に興味があるかも! → どうすればその分野に関われるのか?」
って考えて実行していった先に、それがただ「課外活動」になるだけ。課外活動そのものをモチベーションにしていたら、自分と向き合うことなんてできない。
受験生はみんな、すでに用意されてて簡単に参加できる課外活動に走りがちだけど、でも、もし何かに興味があるなら、必死こいてできることを探せばいいじゃん。って思う。
自分が高校生だからっていって、自分のできることを制限しちゃダメ。
例えば私は、上で説明した医学のサマーキャンプが終わった後も、その年はずっと医学のドラマを見たり医学の本を読んだりしてて、なんとか日本で医学ってものに関わる機会はないかな、って考えた結果、とりあえず医療学会の本部に連絡して、人でも論文でもいいから自分の興味のありそうなものを紹介してほしい、って連絡した。
自分が高校生だからっていう理由で、なんでも「ふさわしくない」って思わないでほしい。もちろん、人とか企業、団体に連絡したからといって、ほとんどの場合は返事は帰って来ないと思う。それでも、ただ自分がやりたいこと、自分が好きなことのために探し続けて。絶対に、自分の好きなことに関わる方法はあるはず。自分が望んだ方法ではないかもしれない。それでも、絶対に、やり方はある。
私が医療学会に連絡したとき、もちろんベストは研究に関わらせてもらうことだったけど、その代わり、私は医療系の論文の和訳作業を手伝えることになった。
正直、高1の時は私も、模擬国連やんなきゃ、ディベートやんなきゃ、課外活動やんなきゃ、って感じだったけど、課外活動で一番大事なのは、いつでも自分を中心に考えること。自分がやりたいこと、自分が楽しいことを中心に考える。
「課外活動をやらなきゃ → 何をしようか?」
じゃなくて、
「この分野に興味があるかも! → じゃあ、どうすればその分野に関われるのか?」
っていうマインドセットを大切にしてほしい。
- 受賞歴は何を報告しましたか?
- 全部で5個報告した。
私の高校は卒業するためにリサーチ・ペーパーを書かなきゃいけなくて、心臓病について興味があったから、心臓病と心理学との関係について研究して書いたら、それがどこかの大学で賞をいただいた。
あとは、模擬国。ディベート大会。それと奨学金に合格したことを報告した。
- TOEFLはどうやって勉強しましたか?
- 速くメモを取る練習をした。もともと海外歴は長かったから英語力に心配は無かったんだけど、初めてTOEFLを受けたとき、リスニングでメモを速く取れなかったから間違えた問題がいくつかあって。だから、TOEFLに限らず色々な英語のリスニングテストの練習音声を聞いて、メモの練習を重ねた。
- SATについて、受験生に伝えたいアドバイスはありますか?
- 高校によっては「とりあえずSATを1回受けてみなよ」みたいなアドバイスをするところもあるけど、私はそれには絶対に反対。自分が本当に準備万端だって思えるようになってから、SATは受けた方がいい。いくつかの大学は過去の全てのSATの点数を提出するように求めているから、そのとき、自分がお試しで受けた時の悪いスコアは送りたくない。だから、公式の練習問題(Practice Exams)を本番と同じ制限時間と環境で受けて、ある程度自分で納得する点をとれるようになるまでは、SATは受けないほうがいい。実際、SATは多く受けすぎないほうがいいって言われてるし。
あと、SATに時間を割きすぎて、アプリケーションパッケージの他の大事なことをおろそかにしないように!SATがほんの少し悪くても、大丈夫。SATが10点、20点悪くたって、別に何も変わらない。むしろ、その10点、20点を上げるための時間を、エッセイとか課外活動とか、自分と向き合って自分を表現することに使った方がいい。だから、あまりSATにフォーカスしすぎないように!むしろ、そこまでフォーカスしたいんだったら、逆に、早めに終わらせるようにする。ギリギリまでSATを残しちゃダメ。ギリギリまで残せば残すほど、他の大事なことに使える時間が無くなって、すごいストレスになるから。
- SATを解く上でのコツはありますか?
- まずは、SATが「Standardized Test(統一テスト)」だっていうことを意識するといいと思う。全ての選択問題において、1個は100%正解で、残りは全部100%不正解。学校の先生が作ってるテストとかと違って、全米、全世界の統一テストだから、戦略的に解くことが大事。どれがベストアンサーかっていう質問じゃなくて、1個を除いて他は全部、絶対に間違い。だから、そのマインドセットをもって間違いを探すことが大事。ベストを選ぶんじゃなくて、確実な間違いを探して。
次に、自分はSATの中でも特に何が苦手なのかを理解すること。リーディングが苦手だとしても、特にどのセクション、どのような文章、どんな設問が苦手なのかを理解する。それがわからないと、自分のトレーニングにはならない。だからまずは、自分の得意不得意を見つけると良いと思う。
- 誰に推薦文をお願いしましたか?
- 私の高校は海外大受験が盛んだから、高校指定のSchool Counselorがいたから、まずはその人に頼んだ。
あと、生物学の先生。この先生はダンス部の顧問で、ずっと一緒に部活をやってきたから頼んだ。
それと、中1の時の担任。この先生は、自分が日本に帰国直後、日本語を全然話せない時にずっと面倒を見てくれて、中高の6年間ずっと支えて、よく話を聞いてくれた先生。
- 受験のプロセスの中で一番苦労したことは?
- 自分の目標はアメリカの大学に行くことで、それは絶対にゆるがないけど、高校の大半の同級生は、自分とは全然違う動きをしている。それが始めはすごい不安だった。 日本の大学受験ってずっと勉強、試験だけ。でもアメリカ受験はもっと包括的で、もっと自分の内側、自分のことを理解していく作業。その差がちょっと不思議な感覚で、不安だった。例えばみんなが模試の勉強とかをしてると、なんだか変な気分になった。たまに、全然そんな必要ないのに、周りにつられてセンター試験の勉強をしちゃったこともあった。
自分が周りと全然違うことをしていることになかなか慣れられなくて、それに慣れるのにすごい時間がかかった。
でもそれは時間が解決してくれた。結局、ある程度アメリカ受験が差し迫ってくると、もうどうでもいいや、って気分になる。ずっと周りと違うことが不安だったのは、周りがやっていることや、周りが自分のことをどう思っているのかが気になっていたから。でも、もう周りを気にしている精神的・時間的余裕がなくなってからは、何も気にしなくなった。それどころじゃなかったからね(笑)
- 受験中にやってよかったことは?
- 自分のエッセイを友達に話したこと。
Route Hっていう塾でエッセイを見てもらっていたんだけど、そこの友達にエッセイを見せて、エッセイについて話して、友達の意見を聞けたのがよかった。やっぱりたまに、自分には伝わるけど、他の人には伝わりづらいことがあって、だから他の人の意見を聞くのは自分にとって大事だった。
特にRoute Hでの友達は、私が自分のエッセイについて話せるくらい心を許していて、私のことを良く知っていて、かつ、誉め言葉だけでも批判だけでもなく、正直な言葉を、正直な意見を教えてくれる人だった。そういう人の意見を聞くことはすごく大事だと思う。
海外大を目指している友人に限らず、家族とか周りの人、誰でもいいからエッセイについて話してみるのは良いんじゃないかな。
- 最後に、受験生へのメッセージはありますか?
- 自分が今やりたいこと、自分が将来やりたいことにフォーカスして。
私は結構、競争心の強い性格で、すごい競争的な受験の雰囲気に飲まれてしまうことが多くて。自分の中では自分がやりたいことにフォーカスしなきゃ、ってわかってるんだけど、自分の中の競争心が、良い大学に入りたい!良いアプリケーションにしたい!って強く思っていて、自分を失いそうになる。
競争的であることは、アメリカ受験では役に立たない。アメリカ受験は、他の人が何をしているかは関係ないから。他の人との相対的な比較でもない。ただシンプルに、あなたが見られている。だから、心の中の競争心を脇に置いて、目立ちたいとか良く見せたいっていう意識を消して、ただシンプルに、自分が何をしたいのか、どうしたいのかを考えてほしい。
編集者ひとこと
かなり Passionate な話し方が印象的でした。エッセイ、課外活動、受賞歴。すべてのアプリケーションを通じて、いかに「自分」とまっすぐに向き合い、表現していくのか。とても参考になることの多いSTORYだったと思います。「アメリカ受験に競争心は必要ない」という言葉が、胸に強く残っています。