- O. F. さんの基本情報
進学先 | University of California, Santa Barbara(カリフォルニア大学サンタバーバラ校) |
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専攻 | Communication Studies |
副専攻 | Theatre, Education |
GPA(4段階) | 3.9 |
TOEFL・IELTS | TOEFL 104点 |
SAT・ACT | SAT Reading 560 Math 730 ACT 31 |
主な課外活動・受賞歴 | ミュージカル、ディベート、 小学生向けのミュージカルで英語を楽しく学ぶプログラム、 小児がんの募金活動(レモネードスタンド)、老人ホームのボランティア、 日中韓リーダーシップサミット、 イベントの通訳・翻訳、 ディベートの全国大会(一番印象のいいチームに送られる賞、ベストディベーター賞の受賞)、 演劇(劇団宛の表彰と女優賞)、 学内の試験の順位 |
合格した大学 | (米)University of California, Santa Barbaraを含む7校 |
卒業年度 | 2021-2025 |
出身高校 | 地方公立 |
IB・AP | どちらも受けていない |
受験校数 | 合計11校 (米)リベラルアーツ2校、リサーチ大学9校 |
- 海外進学を考え始めたきっかけは何ですか?
- 小・中学校は、日本の田舎で唯一の日米のハーフで、見た目が違ったり、英語の発音が他の人より良いことで目立っていました。それをよく思わない友達に嫌がらせをされるようなこともあって、アメリカで育った母とよく衝突していました。「英語を話すのやめて」ってお母さんに言ったこともありました。
英語を話すことによるいい思い出があまりなかったので、英語を避けるようになっていたのだけど、自分が進学した高校は英語に力を入れていて、周りも英語を頑張っていたので、自分も頑張ろうって思えるようになりました。その延長として、また、母の文化を避けてきた後悔もあって、英語を1から勉強し直して、アメリカの大学で勉強したいと思うようになりました。
それから、ずっとやってきた演劇を大学でも続けたいと思っていたんだけど、演劇だけじゃなく、他の学問もちゃんとやりたいって考えたときに、日本の大学では難しいことに気づきました。
当時、心理学に興味を持っていたのですが、調べていくうちに、似ているけれど違うアプローチで人の関わりについて考える「コミュニケーション学」という学問があるのを知りました。コミュニケーション学も日本では珍しく、がっつり学べる環境もなかなかなかったので、演劇もコミュニケーション学も同時にしっかり学べる大学に進学したいと思うようになり、アメリカの大学を目指し始めました。
- 大学でやりたいことは、どのように決まっていきましたか?
- 将来これがやりたいから、それに備えてこの学問を勉強しよう!というよりは、逆に、今まで好きだったことってなんだろう?と振り返ることで、見えてきた気がします。
演劇は10歳から続けていたから、それは大学でも絶対に続けようって思っていて。
それと、演劇きっかけで、どうしたら相手に伝えたいことが伝わるかを舞台でも日常でも考えるようになったり、どうして目の前の二人は喧嘩してるんだろう?など、人のコミュニケーションの様子を観察したり、考えたりすることが好きでした。
初めは心理学かな、と思っていたのですが、コミュニケーション学に出会った時には、これだ!と思いました。
大学に入ってからも、学びたいことは変わってないけれど、学びたいことが増えたように思います。
コミュニケーション学と演劇に加えて、教育学を副専攻してみたりビジネスマネジメントやレジリエンス(回復力)の資格も取得したりして。自分がそれをやってみたいと思うなんて、大学に入るまで気づきませんでした。
今興味があることは、教育と人材育成です。その中に大好きな演劇を組み込めたら…!と思っています。そうなった場合、自分で一からビジネスを作ることがあるかもしれないと考えたので、ビジネスマネジメントの資格も取得しました。
アメリカの大学は、やりたいことが決まってなくてもいろんな機会を試す余裕を与えてくれます。やりたい!ってなった時に、いいよ、って許してくれて、サポートしてくれる環境があるのか素敵だと思ってます!
- 海外進学に関して、周囲からの反対はありましたか?
- 学校の先生からの反対はありました。“もったいない"って言われました。高校の進学率を重要視してる担任の先生で、成績がいいから、推薦でもなんでも、日本の国公立大学に行って欲しいと言われました。
土日のセンター模試を受ける代わりにTOEFLとSATの勉強をしたい、っていうのも認めてもらえなくて…。
でもミュージカルのリハーサルもあるなか、土日にセンター用の模試を受けている余裕はなかったので、高校に認めてもらえてなくても、学校で模試を解く代わりに家でTOEFLやSATの勉強を自分でし始めました。すると案の定、先生から家に説教の電話がかかってきて、また説得が始まりました。
なかなか、理解してもらえなくて、親と一緒に校長先生や担任の先生を説得しないといけませんでした。
日本の大学受験対策ではなく、海外受験対策に時間を使えるように、やっと許してもらえたのは受験終盤の12月だったので、本当に大変でした。日米併願は結局しませんでしたが、受験勉強の段階では併願している気分でした。
でも、高校の後輩に対しては、少しは海外大学を目指すことへの風当たりがよくなったんじゃないかな、とは思います。
地方特有の情報量の少なさと、周りからの理解の得難さは否めないと思います。
今思うと、もっと海外受験の全体像を理解してもらえるように働きかけられたら良かったのではないか、と振り返ることもあります。先生に反対されたのも、先生がサポートの仕方を知らなくて、リスクが高いと思われていたような気がするから、
どうしてアメリカの大学に進学したいのか?
何を準備しないといけないのか?
先生には何をしてもらいたいのか?
もっと早い段階ではっきり伝えられれば良かったのかもしれないと思います。
親が応援してくれたのは、本当に恵まれていました。
もしも先生、親に反対されているなら、反抗するのではなく、自分は何をしたくて、どんなサポートをして欲しいのか、ロジカルに説明してみてください…!
- どうやって志望校を決めましたか?
- コミュニケーション学と演劇に打ち込める環境がある大学を、まずはランキングが高いところから見ていきました。どちらも充実してるところ、というので30校くらいに絞れました。
そこから、コミュニケーション学は広く、大学によって教えていることが違うため、メディアやジャーナリズムではなく、自分の興味のあった人対人のコミュニケーションを学べる授業が充実してるところ、また、演劇をダブルメジャーかマイナー(副専攻)として履修できるところにさらに限定しました。
学校によっては芸術のマイナーがなかったり、他とダブルメジャーはできないところもあるので、芸術と他の分野を両立したい人は、これを調べるのが必須です…!
そして、私は天気に気分が左右される性格なので、少しでも元気に過ごせる場所を…と思って、晴れの日が多いカリフォルニアを中心に探していました。
周りを説得するためにも、それぞれの大学をどうして志望しているのかを、できるだけしっかり整理していました。
- エッセイに書いたことの中で印象的なもの、自信があったエッセイはありましたか?
- 一番時間を費やしたのは、「子供から大人への転換期」をテーマに書いた、コモン・アプリケーションのエッセイです。
10歳の頃から続けてきたミュージカルですが、初めは習い事の感覚で、自分は教えてもらう立場として取り組んでいました。それが、高校生になって、小学生が演劇を通して英語を学ぶプログラムを始めてからは、自分が教える立場になっていきました。
自分にスポットライトが当たっていて、自分が拍手を受けているところから始まり、
演劇を通してコミュニケーションに興味を持つようになっていき、
エッセイの終盤には、自分が子供たちにスポットライトを当てていて、彼らに拍手が送られている様子をエッセイにしました。
演劇らしさを取り入れた描写をしようと工夫したことが思い出に残っています!
- エッセイで苦しんだこと、悩んだことはありましたか?
- いろんな課外活動を頑張っていたので、どのお題にどの活動について書こうか、かなり迷いました。
コミュニケーション学への興味や、ディベートについてのエッセイなど、いくつかのエッセイを何度か書き直しつつ、最終的に好きなものを選んで提出しました。書くまでが一番悩むことが多くて、逆に何を書くか決まってからのプロセスはスムーズでした。あとは時間が全然なかったので、時間との戦いだったのを覚えています。
添削は学校のALTの先生にお願いしていました。ただ、その先生もエッセイの添削の専門ではなかったので、いいエッセイが書けているのか自信が持てないことが精神的に大変でした。
- 課外活動について、詳しく教えてください!
- ミュージカルやディベートに加えて、首都圏の高校生に比べて機会が少なかったので、自分でいろんな活動を立ち上げました。
・小学生向けの、ミュージカルで英語を楽しく学ぶプログラム
・小児がんの募金活動(レモネードスタンド)
他にも、日中韓の高校生が集まって、三国間の関係について考える日中韓リーダーシップサミットに参加したり、地元の大学の交流イベントなどの翻訳・通訳系の仕事を自分から積極的に受けにいきました。
高校に案内がくるボランティア活動や、県外のプログラムにも色々参加しました!
都市圏の受験生の課外活動と比べてちっぽけなことだったかもしれませんが、既存のものに参加するのではなく、自分で1から活動を作り上げたということを強みにできたことはよかったと思います。
- 課外活動に取り組む上での苦労はありましたか?
- 日本では、机に向かってる時間が長ければ長いほどいい、というようなところもあるので、高校からは、「ミュージカルはやめた方がいい。ボランティア等はせずに勉強した方がいい。」と言われました。ひとりだけ登校日に、ボランティアのために休むなどの特別な許可をもらうことは難しいかもしれないけれど、アメリカではどうして課外活動が重要視されていて、どのように評価されるのかを、高校の先生にも理解してもらおうと努力しました。
また、上で話した通り、田舎なのでどうしても周りに課外活動と呼べるものがなかなか無かったので、自分から1から作らなければいけないのは大変でした
- TOEFLの勉強方法を教えてください!
- 自分に合う勉強法を見つけるのに時間をかけました。
語彙力はなかったけれど、単語帳は苦手だったので、目からではなく耳から単語を覚えるために、付属のCDを何度も聞いていました。National Geographicsなどを観て、映像と一緒に英語を勉強する工夫もしていました。
他にも、新しい単語を覚えるのに、あえて記憶に残るような変な文章を作って、先生に添削してもらっていました。
スピーキングは、好きなテレビのセリフを真似して、練習していました。
リーディングについてはパターンがあるので、過去問を解いた時にどんな質問への間違いが多いのか、自分で分析して対策をしました。
ライティングは解答のテンプレートを暗記して活用したのですが、タイピングが苦手だったので、毎朝タイピングの練習もしていました。タイピングの練習で効果的だったのは、友達や家族とSNSでチャットすることでした。
それぞれについて、自分に合う、楽しく学べる方法を探して実践しました。
- SATの勉強方法を教えてください!
- 当時TOEFLの点数をあげるので精一杯で、SAT対策をする時間は、正直ほとんどありませんでした。何回か過去問を解いて、本番に臨みました。
数学については、日本で習わない範囲もあったので、分からない問題を日本語に訳して高校の数学の先生に説明してもらうこともありました。
- 誰に推薦文をお願いしましたか?
- ・サポートしてくれていた、英語科の先生
・エッセイの添削をしてくれた、ALTの先生
・1年生の時の、部活の顧問の先生
・演出家の先生(外部推薦状)
・親の知り合いで昔からよくしてくれていた人(外部推薦状)
- 受験のプロセスの中で一番苦労したことは何ですか?
- 一番は、なかなか周りの理解が得られなかったために、必要な時間が作れなかったことです。
それもあって、タイムマネジメントにも苦労しました。学校からセンター試験対策として、平日4時間、休日6時間分の課題が出されていて、土日はミュージカルの稽古が8時間ある中で、海外受験の勉強をしないといけない状況でした。
当時、土日は、朝6時に起きて、課題をやって、9時から稽古にいって、18時に帰ってきて、また課題をこなし、終わり次第午前1時まで海外の受験の対策をしていました。
平日は朝早くに起きてその日の学校の小テストの勉強をして、学校に行く…という感じで、精神的にも体力的にも大変でした。
地方にいることで孤独を感じることも多く、遠くに住んでいても自分と同じように海外受験を目指している仲間を自分から見つけに行きました。この繋がりはとても心強かったです。
- 受験中にやってよかったことについて教えてください!
- タイムマネジメントが大変でしたが、それでも演劇をやめなかったことは本当に良かったです。
受験生になったら「受験に直接関係ないことはやめる」というのが暗黙の了解ではあるので、時間がない中で、演劇を続ける意味があるのか悩むこともありました。秋公演で演劇活動は終わりだったので、冬は稽古がなく、時間が増えたはずだったのですが、稽古がなかったことで心が満たされず、勉強にも身が入らなかったのを覚えています。
心のオンオフのためにも、好きなこと、やりたいことをやめなくて本当に良かったです。
そして、最後の最後で、学校の先生を説得する方法を見つけられて良かったです。
最後まで諦めないことで、最終的には理解してもらえて良かったと思います。私と同じ状況で、高校から理解を得るために苦労している高校生をサポートする時にも、この経験を生かせています!
- 逆に、受験中にやればよかったと思うことはありますか?
- 自分の興味のある専攻とランキングを元に志望校を決めていたのですが、ランキングに名前が上がる大学は研究をしている総合大学ばかりなので、意図せずに見つける大学が総合大学に偏ってしまっていました。当時の自分は、ランキングを参照するという調べ方以外を知らなかったのですが、今思うと、リベラルアーツ校も意識的に調べてみても良かったと思います。
今の高校生の話を聞くと、詳しく調べる前から「小規模でサポートが充実しているリベラルアーツがいいです」や「研究したいので総合大学にします」と決めている人が多い気がします。リベラルアーツや総合大学の特徴は、あくまでも全体的な傾向なので、初めからどちらかに絞って検索してしまうのは少し勿体無いかなと思います。サポートが充実している総合大学もあれば、研究のできるリベラルアーツ思考の大学もあります。
私も今の大学でとても満足していますが、選択肢としてもっと広く考えられたらよかったなと思うことがあります。
また、後悔とまでは行かないけれど、もっと早く先生とコミュニケーションを取って、温和な話し合いができれば良かったと思います。
それから、ミュージカルのオフ期間(秋講演以降)に空いた稽古時間をうまく活用できなかったので、ミュージカル以外でも自分のモチベーションを保つ方法があれば良かったと思います。
- 海外大受験を振り返ってみて思うことはありますか?
- 受験のプロセスを通して、強くなったと思います。ずっと先生に反対されていた中で、諦めずに、自分の道を信じて続けられたことが自信につながりました。
また、自分をよく知ることもできました。自分のことをちゃんと言葉に表現できるようになったのは、海外の大学を受験したからこそだと思います。
大変だったけれど、やって良かったです。
- 最後に…受験生へのメッセージをお願いします!
- GPAが低いから、点数が低いから、大学や奨学金に出願しないっていうのはもったいないです。
私はダメ元でも出した方がいいと、思います!
私はSATの点数が低かったので、最初は絶対無理だろうと思っていた奨学金にダメ元で応募しました。なんとか自分の弱点を強みに変えられるように話すことを心がけながら、また、ここで学びたい!という強い意思を伝えながら選考を進めていったら、点数とかではなく自分の志を見てもらえて、奇跡的に奨学金に合格し、家族に負担をかけずに留学できています。
もし奨学金に応募しないで、後から「もし出していたらどうなっていたんだろう、、、」と後悔するのもしんどいと思うので、出せるなら出す!そして自分の意思を強く持ち続けて下さい!
最後に、私を受験中に励ましてくれた、歌の歌詞を送ります。
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夢を追って失敗してもいいじゃない
思い通りに行かないもの それは挑戦者の大前提
だから負けても夢は終わらない
でも辞めたらそこで終わり
だから自分の本当の声を消さずに
自分の直感を信じよう
やりたいことやりましょう
どこまでも信じて
その先できっと夢が待っている
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ー魚沼産夢ひかりより
編集者ひとこと
時間的な制約、情報量や活動機会の少なさ、学校の先生方からの反対など、大変な状況を乗り越えてきた話に、勇気をもらいました。
他の人とは違う道を進む中で、一筋縄ではいかないこともあるかと思いますが、夢を諦めずに、頑張ってください!