野球部を離れ海外大学へ!Re: ゼロから始める海外大学受験

インタビュー by ぼよよん

  • R・Nさんの基本情報
進学先 Princeton University (プリンストン大学)
専攻 Operations research and financial engineering
海外滞在歴 ミネソタ州に小学生の頃に2年間滞在
GPA(4段階) 4.0
TOEFL・IELTS TOEFL 115点
SAT・ACT SAT Reading 750 Math 800
主な課外活動・受賞歴 生徒会長、ディベート大会県大会優勝、エッセイコンテスト優勝、
スピーチ大会の賞、石巻の復興ボランティア、熊本の復興ボランティアなど
合格した大学 (米)Princeton University, Columbia University
卒業年度 2021-2025
出身高校 首都圏私立
IB・AP AP 取得
受験校数 合計6校
(米)リサーチ大学 5校
(日)国立 1校〈一般入試〉
  • 海外大学進学を考えるようになったきっかけは?
  • 本格的に海外大学進学を考えるきっかけになったのは、中三の時に母校である某私立中高一貫校で行った海外研修がきっかけでしたね。

    それまでずっと野球部でキャプテンを務めていたのですが、その野球部の顧問の先生が海外研修の担当をしていた方で、幸運なことに海外研修に参加する機会を頂けたんです。その海外研修ではアメリカ西海岸に赴き、スタンフォード大学の見学のほか、リンゴがシンボルの某有名企業、某サーチエンジンの会社などと言ったシリコンバレーを代表する企業の本社研修もさせて頂きました。そういった経験を通して、自分が居た環境の狭さに気付き、海外大学という進路もありなのではないかと思ったのが最初ですね。最終的に海外の大学に行きたいとハッキリ決断したのは研修後に三、四ヶ月真剣に考えた後でした。
  • 真剣に考えていた段階では誰かに相談したり、或いは誰かに反対をされたりはしましたか?
  • 学校の先生方にはもちろん沢山相談に乗って頂きました。しかし親としてはやはり受験に於いて海外大学に行くという選択肢は念頭になく、金銭的にもほぼ無理であろうと言った感じでした。さらに、自分は野球部の部活動にかなり傾倒していたというのも障壁でした。中学野球部でキャプテンでしたし、高校野球部でもキャプテンになるつもりでしたが、海外の大学を目指して受験するとなると時間的リソースを考慮した場合野球部を捨てねばなりませんでした。野球部のコミットメントは週に3〜4日はありましたし、土日も試合で全て潰れてしまうので、それが高三まで続く上に日本の大学受験勉強もするとなると海外大学受験は難しいので、まさに二者択一の選択を迫られていました。

    その上、中三に海外大学を考え始めるまで野球以外の課外活動はおろか、勉強もろくにやっていなかったので自分にとっては本当に0からのスタートでした。今まで積み上げてきた物と価値観を全て白紙に戻した上でそう言ったスタートを切るというのは、自分としても勇気がいることですし、親としても簡単に後押しできる事ではなかったでしょうね(笑)
  • 消極的なご両親を最終的にはどうやって説得しましたか?
  • 海外大学進学を切り出した直後の一ヶ月はバチバチでしたね(汗)研修から帰ってきた直後に海外の大学に行きたいと言い出したのもあり、衝動的なモノだと思われていた節もあると思います。でも自分は真剣でしたから、エクセルなどを駆使して様々なシナリオを考慮した上でなぜ野球部を辞め海外大学を目指すのが最適な選択なのかを事細かに記してプレゼンのような感覚で説得しました。両親の他に、野球部の監督にももちろん止められましたが、監督も確固たる意志がある事を示してなんとか説得しました。他の野球部員にも迷惑がかかりますし、驚かれましたね(笑)
  • 反対に、海外進学をサポートしてくれた人はいらっしゃいましたか?
  • そうですね、正確には両親含めみなさん理不尽に反対して居たわけではなく自分の事を本当に考えて反対していただけだったので、自分がしっかり説得したり少し結果を出せたりするようになった段階からは全員サポートしてくれるようになったと言った感じです。

    一番最初から自身の海外大学進学という選択に前向きだったのは、はじめに海外研修の機会を与えてくれた二人の先生方でした。その先生方は周りの説得にも協力してくれましたし、本当に今でも頭が上がらないです。
  • なるほど。海外大学受験を考え始めた頃はやりたい事は決まってましたか?
  • やりたい事の方向性としては、数量的な観点からのビジネスのディシジョンメイキングを学びたかったです。カテゴリーとしてはデータサイエンスやビジネス倫理が入ってくるのでしょうかね(笑)高二、高三くらいの時にはこんな感じの事を考えていました。

    公共政策を分析したかったので、それを学べる大学を志望していましたが、結局は公共政策、ビジネス、そしてフィナンシャルマーケットも全て学べる、弊大学のOperations research and financial engineeringに落ち着いたという感じです。
  • それに興味を持ったきっかけなどはありますか?
  • なかなか難しいですが、強いて言うなら生徒会をやっていた事は関係してるかも知れませんね。色々と決め事をする時に、なぜそのような意思決定をするのだろう、と高校生なりに疑問に考えていたんです。そう言った問題に関する自分の考えを言語化し、それを通して他の人に影響を与えられる人になりたいと思っていました。そう言ったスキルを習得しつつ、ビジネスの場に活かしたいというのが今の分野に進んだ理由と言えると思います。
  • ずばりプリンストン大学を選んだ理由は?
  • 基本的には先ほど述べたとおり、自分が学びたい事がドンピシャで学べる学科があったのがプリンストン大学だったというのもあるんですが、プリンストン大学を選んだ理由に関してもう少し補足するとすれば、キャンパスビジットをした時の『ここだな』という直感ですかね。

    これは自分の考えですが、自分の学びたい事をどれだけ掘り下げられるかは、学部レベルでは特に研究に直接携わらない限りはどこもそんな違いはない気がしていたので、大学の学部の強さなどよりは自分の感覚にフィットするか否かを大事にしていました。生徒の雰囲気や卒業生の雰囲気はその大学の味を知るのに参考になりました。アメリカ大使館主催の留学エクスポなどでプリンストン大学の卒業生がいらっしゃるブースなどに行き、日本人卒業生主催の大学説明会などに参加する事で大学に関して色々と知る事ができました。

    もう一つ大事な理由があったとすれば、生徒と教授数の比率と、TAだけが教えるという授業がないという事ですね。プリンストンはどの教授も学部生の授業の教鞭を執らなければいけないルールなので、学部生の間にも教授自身にしっかり教えて頂けるのは魅力的でした。
  • エッセイに書いた事の中で印象的な事や、自身のあったエッセイはありますか?
  • コモン・アプリケーションのエッセイという事であれば、自分は二つバージョンを書いたんですよね。二つともとても自信のあるエッセイです。自分はかなり早い段階から始めて、早い段階に終わらせたんですが、正解だったと思います。二十回超くらいは校正しました(笑)

    一つのエッセイは、自分が課外活動でやっていた漫才のステージから語る形で、自分がいかに人を楽しませる事に興味があるかに関して書きました。起承転結を持たせるために、笑わせたい人として父親を選んだんです。決して仲が悪いわけでは無いのですが、くだらない事はあまり好きでは無い人なので、その父をいかにして笑わせるか、というストーリー仕立てでした。実際にあった事をベースに、計算高く伝えたえたい事をストーリーにまとめるという感じでした。

    もう一つのエッセイは、どちらかというと自省的なもので、楽しい雰囲気に関する物とはまた違う味の物でした。だから、二つのエッセイはある意味で対極をなすんですよね(笑)自分は普段から人間観察をするのが好きで、ホームの椅子に座りつつ行き交う人の人生に思いを巡らせたりなどしているうちに、人が何を求めているのかが直感的にわかるようになった・・・と言った内容の物でした。具体的には、一つ目がステージからの語りだったのに対し、こちらは能を見にいった時の観客側からの視点を出だしとしました。
  • エッセイを書く上で、やってよかったと思うことはありますか?
  • お題を見る前からエッセイを書いていたことです。

    エッセイのお題を見てからだとお題に縛られてありきたりな事を書いてしまいそうだったので、お題も何も見る前から、自分で最も自分らしさを伝えらえると思うエッセイを書いていました。なんだかんだ言って、十中八九、書いた内容に沿った感じのお題は見つかると思います。

    ただし、大学別のエッセイに関しては、結構詳しい質問が多いので、あまりにも事前に書いてしまうと帳尻を合わせるのが大変だと思うのでお題を見てから書く事をお勧めします。
  • 課外活動に関してお聞かせ願えますか。
  • 主に生徒会とディベートですね。初めて生徒会に興味を持った時に、少し見学をさせて頂いたのですが、どうにも生徒会の力を活かし切れていないような気がして、それを改善したいと強く願い生徒会長に立候補しました。元々中学野球部の部長をやっており、校内での顔も広かった為、幸い生徒会長に当選する事ができました。野球部を辞めてまで立候補したという事で、他の生徒も応援してくれたのだと思います。

    ディベートの方ですが、初めは有志数人でディベート部を作ったのがきっかけです。高一の時に授業の一環で神奈川県のディベート大会に出たところ、他チームが部活で来ていたのもあり県内で最下位になってしまい、それが悔しかったのでディベート同好会を作ったんです。自分たちでディベートの参考書を買って必死に勉強し、一年後には神奈川県大会で優勝したんです。その後、高3になったときに同級生が受験に入って辞めてしまったので、部活の後輩指導をしつつ個人でディベート大会に出場していました。最終的には日本代表に選出され、世界大会に出場しました。今は出身校のディベート同好会はかなり強くなっているようで、ディベート世界大会の日本代表ヘッドコーチが顧問として指導してくださっているみたいです。

    課外活動をどうしたら良いかという質問をよく頂きますが、結局選りすぐりするよりは、数打ちゃ当たる戦法で多方向に手を伸ばしていくうちに、色々と繋がっていくので、何にでもトライしてみると良いと思います。当たらなかった物としては、例えばイノベーションハッカソン的な物に参加した際、アイデアの斬新さが足りなかったらしく鳴かず飛ばずの結果でした。アフターストーリーだけ聞くと全てうまく行った様に聞こえますが、結構当たらなかったものも多いですよ。
  • 受賞歴に関してお聞かせ願えますか。
  • 先述のディベート大会出場に加えて、エッセイコンテストの受賞もアプリケーションには書きました。元々エッセイが苦手で、IIBCという会社が主宰してるエッセイコンテストやチャーチル杯という名のスピーチコンテストにも出場しました。

    極端な話、どのコンテストに出場しようか、とか、どの課外活動に参加しようか、ではなく、なんでもやってみると良いと思います。とにかくたくさん出て、いくつかで結果が残せれば勝ちです。

    アプリケーションの受賞歴欄には書きませんでしたが、漫才の方でもいくつか賞を頂いたこともあります。
  • SAT、TOEFL対策はどの様な事をしましたか?
  • 基本的には公式の問題を使って自習してました。お茶の水ゼミナールに通ってはいましたが、お茶ゼミの授業で伸ばすというよりは、自習をした上で授業で軌道修正すると言った感じの対策でした。個人的にはあまりKaplanやPrinceton Reviewが出版している非公式の対策本は好きじゃないので、TOEFLもSATも公式に公開されている問題を使って勉強しました。

    SAT対策にはKhan Academy(無料のSAT対策用のWEBサイト)も活用しました。SATは同じ問題を三回解きましたね。1度目は普通に解いて、2度目はダミーの選択肢を消す反応速度を上げ、3度目は作問者の側に回るつもりでダミーの選択肢としてはどんなものが有り得るかというのを考えつつ解いてました。
  • 推薦状はどんな人に頼みましたか?
  • 全員高校の先生でしたね。カウンセラーは担任の先生、教科の先生の推薦状は、公民の先生と英語の先生に頼みました。

    担任の先生に関しては生徒会の顧問でもあった為、自分の事をよく知る人物という事でカウンセラレターを頼みました。教科の先生として依頼した英語と公民の先生の二人が自分を最初にシリコンバレーに連れて行って下さった方でした。自分は非常にラッキーで、3人とも自分の事をよく知ってる人に頼む事ができましたが、推薦状を書いてほしい先生とは、高2のうちから仲良くしておくぐらいの下準備はしておいた方が良いかも知れませんね。
  • 受験プロセスで一番苦労した事や、やってよかった事はありますか?
  • 特に苦労したと思った事はあまり有りませんでした。睡眠が短くなるなどの弊害は有りましたが、課外活動もどれも非常に楽しく、とても充実していました。必死でしたし、体にはストレスはかかりますが、振り返ってみるとどれもやりがいもある物でした。終わって振り返って見てみるとどれも綺麗事に思えるだけかも知れませんが(笑)

    やってよかった事は、勉強する時と遊ぶ時のメリハリをしっかりしていた事ですかね。学校では授業以外では遊びに尽力してました。うまい飯を食べたり、同級生とペットボトル野球をしたり・・・とにかく楽しかったです。息抜きは大事だと思います。

編集者ひとこと

いやぁ〜すごいストーリーですね!個人的には高校に上がる時に生徒会に立候補した時、他の候補者を差し置いてなんの経験も無いRさんが当選したというのは流石だなと思いました。R・Nさんはイケメンですし、野球部のエースともなれば僕も思わず票を入れちゃいますね(笑)でもそれ以上に感銘を受けたのはエッセイの書き方です。筆者もエッセイに関しては、十分な時間と思考を費やせなかったなぁという心残りがあるんですが、エッセイのお題が出る遥か前から自分の性格を象徴できる様なエッセイを書いて、後々それに一番沿ったお題を選ぶという逆転の発想は正に眼から鱗でした。そしてもう一つR・Nさんの名言を引っ張ってくるとするならば、課外活動に関して、大学受験のために何かするのではなく、興味の向くまま兎に角たくさんの事に手を出すべき、というモノです。これは筆者が通っていたアメリカの高校もよく言われていた事で、受験の為に何かをするよりも、自分のやりたい事を兎に角突き詰めて行けば自ずと道は開けるモノなんだとか。無論、R・Nさんも仰ってた様に、イマイチ結果の出ない課外活動から県大会優勝まで持って行けた課外活動まで様々あるわけですから、挑戦し続ける根気強さというのは大事なのでしょうね!

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