ありのままの自分を素直に表現しよう

インタビュー by やまけん

  • Mさんの基本情報
進学先 Carleton College(カールトンカレッジ)
専攻 未定 (Sociology ,Philosophy, Gender Studies)
海外滞在歴 0-5歳(非英語圏)
GPA(4段階) 4.0
TOEFL・IELTS IELTS 7.5点
SAT・ACT SAT Reading 680 Math 790
主な課外活動・受賞歴 ボランティア、ハンドボール部、応援団 作文コンテスト入賞
合格した大学 (米)Carleton College, Knox College
(カナダ)University of Toronto
(オーストラリア)University of Melbourne
卒業年度 2021-2025
出身高校 首都圏私立
IB・AP どちらも受けていない
受験校数 合計5校
(米)リベラルアーツ2校、リサーチ大学1校
(カナダ)1校
(オーストラリア)1校
  • 海外大学進学を考えるようになったきっかけを教えてください。
  • 中学生の頃、短期留学で海外に行った際、周りの人が自分を全く知らない状態からスタートして生活をするのが面白いと感じました。学校の友達に囲まれた時の自分とは違う自分を見つけられた気がしたんです。また、普段学校で経験していたような講義中心の授業とは違い、ディスカッションが多い授業が楽しかったです。世界各国からきたクラスメイトなどとの交流を通して自分の視野が一気に広がるのを感じていたのですが、それが嬉しくて仕方がなくて、体の中心部から幸福感がドバっと湧き上がってくるという、そのときに初めて経験した不思議な感覚を今でも覚えています。

    さらに、高校1年生の時に参加したボランティア活動を通して、様々な世代の人と触れ合えたのもいい経験でした。そのボランティア活動では、普段過ごしている世界の外側を知り、今まで出会うことのなかった、様々な人生を歩んできた人たちに出会うことができました。そしてそれ以降、もっと広い世界を見てみたいと思うようになりましたまた、その活動の中で、これまで様々なボランティア活動を経験してきたという人に会ったのですが、その人からは、やってみたいことはなんでもやってみればいいというアドバイスをもらいました。当時、海外に行ってみたいけれどどうせ自分には無理、と思っていた私を、この言葉がぐっと前に押してくれました

    また、国際関係に興味があったので、国際関係を学ぶのであれば海外の大学に行ってみたいという気持ちもあったと思います。
  • ボランティア活動を様々行っていたと伺っておりますが、具体的にどのようなことをしていらっしゃったのですか?
  • 長期休みのたびにボランティアをしていました。高校1年生の時に参加したボランティア活動は、日本人と台湾人留学生が一緒になって、里山の整備や知的障がいのある人との交流などを行うものでした。高校2年生の時にはカンボジアに行き、内戦の歴史などを学びつつボランティア活動を行いました。このほかにも、フリースクールでのボランティアや、ボランティア経験を他の人に伝える活動も行っていました。

    ボランティアは誰かを助けに行く活動というイメージがあると思いますが、ボランティアをする側、受け入れ側、関わっているすべての人に様々な人生のストーリーがあります。活動を通して、周りの人のいろいろな話を聞くのが好きでした。それを通して多くのことを学ばせてもらったと思います。

    なお、海外大を考えている人の中には、海外大進学のためにボランティア活動をすることが必須だと思っている人も多数いるようですが、そうではないということは強調しておきたいと思います。
  • 受験する際に、自分は何に興味があるのか、将来何をしたいのか、などについて問われることがあったと思いますが、そうした質問にはどのように答えていましたか?
  • 国際関係に興味があるという話もしましたが、ボランティアの経験や、これまでの自分の人生経験を踏まえた話もたくさんしました。ボランティア活動を通して、世の中には様々な問題を抱えて、思い通りに生きられない人がたくさんいることに気づきました。今の社会の価値観では色々な場面で「普通」であることが必要以上に求められていますが、その枠から外されてしまったときに支えてくれる人に出会うことは非常に困難です。高校の3年間を通して、社会に絶望してしまう人を一人でも減らすためにはどのようなサポートシステムを作ればよいのかや、社会の価値観自体を変えるためにはどうすればよいのか、そもそも「普通」や「正しいこと」とは何なのか、について考えることが多くなりました。それを踏まえて一人一人が、生きたいように生きられるようにするにはどうしたらいいのか、について興味を持ち始めました。一人一人が持っている素晴らしいものを活かすことができる社会をつくりたいということを大学には話しました。
  • ボランティア以外に課外活動はどのようなことをしましたか?
  • ハンドボール部の女子部の部長をしていました。元々コミュニケーションが苦手で、人間関係を築かなければならない場面はなるべく避けたいと思っていたのですが、部活生活を通して支えてくれ、応援してくれる人や、自分が責任感を持って大切にしたいと思える人がいる幸せを学ぶことができました。また、このときにコミュニケーションスキルを試行錯誤した経験は、今の自分にもとても役立っていると思います。

    また、学校の運動会の応援団長も務めました。授業で手を挙げることすらためらっていた中学校までの自分を考えると、応援団長に立候補するなんて信じられないことですが、部長の経験を通して自信をつけることができたのだと思います。応援団は短期間・大人数の活動だったので、部活とは共通点はありつつも少し違うリーダーシップの取り方を考える必要がありました。この二つの経験から私はいろいろなリーダーの形について日常的に考えるようになり、今では色々なグループのリーダーを観察して心の中で分析するのが癖のようになっています。また、応援団を通してパフォーマンスの演出や動線を考えるということを初めて経験したのですが、これが想像以上に楽しかったんです。この経験があったことによって、今までやってみたいと内心思っていたのにためらい続けていた、芸術分野の勉強や活動を大学で始めることができました。

    海外大学受験のために何かの課外活動をする、ということはしませんでした。
  • どのようにして志望校を決めましたか?とりわけ、オーストラリアの大学とカナダの大学にも出願した経緯を教えてください。
  • 高校3年生の夏までは、オーストラリアの大学に進学したいという思いが強かったです。中学2年生の時に短期留学でオーストラリアに行き、雰囲気が気に入りました。ここなら、自分らしく生きられると思ったんです。また、カンボジアでのボランティア活動以来、アジア学にも興味を持っていたのですが、アジア学を学ぶならばアジア圏にいた方がいいと考えました。

    カナダのトロント大学にも出願しましたが、トロント大学には国際協力を学ぶ学部があります。アメリカの大学の多くでは、入学してから専攻を決めるシステムのところが多いのですが、トロント大学であれば入学直後から国際協力が学べるので、国際協力を学ぶなら向いていると思いました。

    ですが、最終的にアメリカの大学を選んだ理由は、国際協力一本に道を絞ってしまう決心がついていなかったからです。まだいろいろな選択肢を残しておきたいと思ったとき、いろいろな学問領域を試してみたり組み合わせたりすることのできるアメリカの大学はとても魅力的だと感じました。

    進学することになったアメリカのカールトン大学は、ともかく自分に合っていると思いました。元々色々な価値観の人に会いたいという気持ちがあり、それならば多様性に富んだ大都市の大学に進学すべきという考えもあったのですが、大都市の大学に行っても、積極的にリーチアウトをすることができないと、結局話す人は限られてしまいます。その点、カールトン大学は生徒数が少なく、生徒同士の大半が知り合いであるうえに、温かいコミュニティの空気感(お互いを支えあおうという気持ち)を何よりも大切にしている学校です。コミュニティの小ささやあたたかさを活かして様々な人に出会えると思いました。また、カールトンは、生徒一人一人の個性が強く、それぞれの個性を尊重しています。そのような環境にいれば、想像もしていなかったような人に出会えるのではないかと思いました。

    最終的に出願した学校数は5校と少なめですが、私は自分のことを説明会オタクだと言ってもいいと思うほど、いろいろな大学のインフォセッションや留学フェアに足を運んでいました。どこで自分にピッタリな大学に出会えるかは本当にわからないものなので、国や大学名関係なくとにかく話を聞ける相手には聞くということを心がけていました。カールトンもそのようなイベントに参加していなかったら知ることがなかったかもしれない学校なので、本当にやってよかったと思います。
  • 出願時にはどのようなエッセイを書きましたか?
  • コモンアプリケーションのエッセイでは、カンボジアでのボランティアについて書きました。それまで、周りの人を心から信用するということを知らずに生きてきましたが、カンボジアで出会った子どもたちは本当に純粋で、心から人を信用しているように思い、その素晴らしさを感じました。ちょうどその頃、ハンドボール部の部長を務めていて、後輩の面倒を見ることについてや、自分が下級生だった頃の先輩の存在について考えていました。そこで、エッセイでは、カンボジアでの経験とハンドボール部の部長の経験を踏まえて、信頼とは何かということについて書きました

    余談ですが、そのあと孤児院ビジネス(本来孤児ではない子どもたちを孤児院に集め、子どもとの交流を目的としたボランティアツアーの参加者から寄付金を回収する観光ビジネス)という言葉があることを知り、当時出会った子供たちは本当に幸せを感じられていたのだろうかとか、ボランティアは本当に人のためになるのだろうかと考えなおすこととなりました。一方で、お互いのことを支えあえるコミュニティが社会でとても必要とされているというのも事実であり、やっぱり私はそういうものの構築に携わっていきたいと考えています。

    やはり、コミュニティの中での信頼の大切さに気づくことができた喜びを素直に心いっぱい表現することができた当時のエッセイは、今の自分の原点として大切なものになったのではないかと思います。

    カールトン大学のエッセイで特徴的なのは、1-2文で答えなければならないというところです。そこで自分らしさを出すコツは、ただ自分の直感を信じることです。あれこれ考えていたら、いつの間にかありきたりな、つまらない回答になってしまうので、頭にパッと思い浮かんだギャグをその場で瞬時に人に披露するような、そんな思い切りの良さが大切でした。カールトンはQuirkyを特徴としている学校なので、どこのエッセイ対策サイトを見ても「ここは自分の風変わりな面白さを発揮することを意識してください」と書いてあるのが面白かったです。ただ、実はカールトンも公式サイト上にエッセイのアドバイスを載せていて、そこには「自分が真面目ならそれを恥ずかしがらずに表現するといい。真面目なことも個性です。」と書いてあります。エッセイの質問の形式やこのアドバイスを通して、生徒のありのままの個性を大切にしてくれる学校だと感じられたことが、実はカールトンを志望したきっかけの一つでもありました。

    大学側は、知りたいことをエッセイのお題として出題しているので、大学の個性がエッセイの問題に表れます。大学を選ぶときにエッセイの問題を見てみるのも良いかもしれません。
  • エッセイはどのようなプロセスで執筆しましたか?
  • 高校でエッセイライティングの授業があり、その授業を通してエッセイの書き方を身につけました。エッセイを執筆する際は、その授業を担当していらっしゃる外国人の先生にお世話になりました。数人の海外大学志望者と、その先生で、高3の夏以降エッセイを読み合うなどして徐々にエッセイを完成させていきました。

    エッセイを書く際は、ありのままの自分を表現するということが難しかったです。友達にも話さないようなことをありありと書くという経験が初めてのことで、最初は少し恥ずかしい気持ちもありました。でも、結局は、飾らずにありのままの自分を表現することが一番大切です。といっても、ありのままの自分らしさって何だろう、という問いに対する答えが最初からわかっていたわけではありません。それを見つけ出して言語化するというプロセスに結構苦労して、かなり時間がかかりました。自分の中にある体験談や思いの中で何が自分を表現するのにぴったりな話題になりうるかというのは意外と一人で頭の中でぐるぐる考えているだけではわからないもので、私の場合は思いついた話題について周りの人と話し合ってみることが、自分にとって何が大切でどう大切なのかを整理するのにとても役立ったと思います。

    帰国生ではないので、英語で書いた時に読んだ人にどのように映るのかという感覚が掴みにくく、その点も苦労しました。
  • 海外大学進学を検討している、帰国生でない生徒にアドバイスはありますか?
  • 自分には無理と最初から諦めてしまうことは是非しないでほしいな、と思います。最初に一歩踏み出せるか、踏み出せないかが大きな分かれ目になるように感じます。海外大を受験しようと思っている人は周りにあまりいない場合が多いと思いますし、他の人と違う道を目指して手探りで進んでいくことに対して不安や孤独を感じることもあるかもしれません。でもこのWEBサイトのように、海外大を受験する人をサポートしたいと動いてくれている人たちは最近どんどん増えています。最初の一歩が大事と言いましたが、そのあともどんどんリサーチをたくさんして、いろいろな機会を逃さないように自分から積極的に動きつづけることが大切なのではないかと思います。

    でも、あくまで自分のペースを守っていくことが一番大切です。「あの人はあれができてるのに自分はできてない」と焦ることもあるかもしれませんが、アメリカの大学の場合「これがないと絶対受からない」ということがあるわけではありません。受験の歩み方は十人十色なので、どんな歩み方になったとしても、すべてが自分らしさにつながっているとポジティブに考えてみてほしいなと思います。

    また、人に助けてもらうことを躊躇わないことも大切です。自分の場合は、エッセイを見てくださった先生にとてもお世話になりました。また、悩みを共有できる同級生がいたことも大きかったです。今振り返ってみて受験期にもっと積極的に頼ればよかったなと思うのは、海外大に実際に行っている先輩たちです。私自身、進路などについて今いろいろ相談させてもらっていて、とてもためになるし心強いと感じています。自分自身進学してみてわかるのは、海外大を目指している後輩の方々の力になれる何かをすることはとても嬉しいことだということです。特に海外大に関連した説明会などに出席している方々はそう感じている人が多いのではないかな、と思うので、申し訳ないとかかっこ悪いとか心配せずにどんどん話しかけていろいろ話を聞いてみると良いと思います。応援しています。
  • SATなどのテスト対策はどのように行っていましたか?
  • テスト勉強に関しては、問題集をやって解き直す、という繰り返しあるのみだと思います。さらに、特にSATのリーディングは時間が足りなくなってしまうことが課題だったので、英語で考えることができるように、普段から英語に慣れておくとより良いと思います。英語の本を読んだり、英語のテレビを見たりして、学校の英語の試験の勉強をしているだけでは身につかない能力を積極的に身につけるべきです。
  • 海外大学進学に関して、周囲の人から反対はありましたか?
  • 海外大学進学を積極的に応援している学校だったので、サポート体制が充実していました。家族も、自分の道は自分で選んで良い、という方針でしたので、特に反対されませんでした。
  • 誰に推薦文をお願いしましたか?
  • 学校の海外大学担当の部署の先生と、英語の先生、部活の顧問の先生と、中高の6年間で二回担任をしていただいた数学の先生にお願いしました。どの先生も、以前自分が相談したことのある先生で、自分のことをよく見てくれている、わかってくれていると感じる先生です。
  • 受験のプロセスの中で一番苦労したことは何ですか?
  • やはりエッセイの執筆です。テストの点数では傑出していなくて、また、海外大学に進学するためだけに課外活動をするということはしなかったので、課外活動の面でも周りに勝てる訳ではありませんでした。エッセイで勝負しなければならない、という状況の中、いかにありのままの自分を表現するか悩み続けました。メンタルを壊しながらも考え続けるのは本当に大変でした。
  • 受験のプロセスの中でやって良かったことは何ですか?
  • 結局、海外大学進学のためだけに何かをするということはせず、自分を貫いたことがアドバンテージになりました。

    大学探しにしても課外活動などにしても、いろいろな情報を集めて選択肢を増やしつつ、その中からどれが自分に最適なもの、必要なものなのかを自分なりに考えて進んでいくことが大切だと思います。本当にこれでいいのだろうか、と不安になることも多々ありましたが、「周りがこうだから自分もこう」という選び方をせず常に自分の気持ちを信じ続けられたことによって、結果的に満足のいく後悔のない受験ができたと思います。
  • 最後に、海外大学受験生へのメッセージを一言お願いします。
  • やはり、素直に自分がやりたいことを全力でやるのが一番です。迷ったら迷ったでとりあえずワクワクする方に進んでみれば新たな一面を発見できるかもしれないし、失敗したら失敗したで一生懸命やってみたことならその後の自分のエッセンスとして活きてきます。ぜひ縮こまってしまわずに、いろいろな人を頼りながら自分の可能性を信じていろいろチャレンジしてみてもらいたいなと思います。

    あと伝えたいのは、適度な休養は大切だということです。一分一秒も無駄にできないと思うこともあるかもしれませんが、心身のバランスを崩してまで頑張ってもあまりプラスになることはないと思います。生活リズムを保って、たまには息抜きをしてみると意外とその瞬間にいいアイデアが浮かんだりもしますよね。

    皆さんの受験が満足のいくものとなるように、応援しています。

編集者ひとこと

自分に素直に行動し、いざ出願する時には、ありのままの自分を表現する。一見シンプルそうでありながら、本当に難しいことだと思います。この記事をお読みの受験生の方も、Mさんのアドバイスを参考に、自分に素直に、ありのままの自分と向き合われることを期待します。

  1. University of Chicago

    自分にこだわった先で生まれるアイデアと行動力

  2. University of Sussex

    留学を決めるのに「遅すぎ」はない!決めたら突き進むのみ!

  3. Imperial College London

    チャレンジ精神は大切に!

  4. Imperial College London

    後悔の無い受験にするために。英米併願者が語る、受験との向き合い方

  5. University of Oxford

    諦めなければ道はある!「自分がやりたいこと」を大切に!!

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