- Mさんの基本情報
進学先 | Harvard University(ハーバード大学) |
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専攻 | Neuroscience |
副専攻 | Psychology |
海外滞在歴 | 小6ー中2(2年半強) |
GPA(4段階) | 3.8 |
TOEFL・IELTS | TOEFL 113点 |
SAT・ACT | SAT Reading 710 Math 800 |
主な課外活動・受賞歴 | 子ども食堂での学習支援、水俣病の研究、TedxYouth、難民支援団体、山岳部、陸上部 ボランティア活動に関する表彰、奨学金 |
合格した大学 | (米)Harvard University, University of Pennsylvania, Cornell University, University of Michigan, Knox College, Bates College, Middlebury College |
卒業年度 | 2021 - 2025 |
出身高校 | 都内公立 |
IB・AP | どちらも受けていない |
受験校数 | 合計10校 (米)リベラルアーツ5校、リサーチ大学5校 |
- 海外大学進学を考えるようになった経緯を教えてください。
- 小学6年生からアメリカに滞在しており、その頃は大学生活も含めてアメリカでずっと過ごすものだと思っていたのですが、中学2年生の冬に日本に帰国することとなりました。日本の学校に編入した後、課外活動などを経験する中で再び海外大学への進学を意識するようになり、高校2年生の夏頃から本格的に海外大学受験の準備を始めました。
- 受験する際に大学でやりたいことは決まっていましたか?
- 高校生の頃から脳科学に興味がありました。ただ、次第に、自分が興味のある現象の仕組みを理解するのには、神経科学が向いているのではないかと考えるようになりました。神経科学は人の心の働きや相互関係を捉えるだけでなく、分子レベルにおいて感情のメカニズムを理解するのに役立ちます。メカニズムが分かれば、将来的に興味のある精神疾患の治療法の発見に繋がるかもしれません。
- 神経科学への興味はどのようにして芽生えたのですか?
- 元々「人」について興味がありました。子ども食堂でボランティアを行った経験や、海外で生活した経験を通して、育った環境や文化がその人に及ぼす影響などについて興味を持つようになりました。大学の教授の元で研究をする中で、教授が本や論文を紹介してくださり、神経科学という分野を知ることになりました。
- 大学の教授の元で研究を行うことになった経緯、また、その経験について教えてください。
- 大学で科学系の研究を行うことができる、高校生向けの外部プログラムに合格し、高校生として大学で研究する機会を頂きました。そのプログラムでは学会費用や研究費を支援していただき、高校2年生の夏にお会いして以来連絡を度々取っていた、ある大学の教授の元で研究をすることになりました。
研究内容はメチル水銀の影響についてです。始めた時期が高2の冬と遅かったこともあり、放課後週4回、かなり急ピッチで活動していました。
- ハーバード大学に入学した後も神経科学の研究は続けていますか?
- 昨年冬から研究室に所属しており、双極性障害の治療に関して研究しています。双極性障害の治療にケタミンという麻酔薬が役立つのではないかという考えがあります。今行っている研究は、特に子どもに多いタイプの双極性障害患者を対象にケタミンの有効性を検証するもので、脳波のデータ分析を担当しています。
- 出願にあたり書いたエッセイの中で、特に印象的なエッセイについて教えてください。
- 子ども食堂でのボランティア活動の経験について書いたのですが、このエッセイを通して、自分の「人」への興味や「人」と接することに関する自分の考え方を表現することができたと思います。
例えば、子ども食堂に来たある子が一見変わって見えたとしても、その子が変わった行動をとるのには必ず原因があり、ある種の自己防衛のような形でその行動を起こしている可能性もあるのではないかと思いました。そんな考えのもと、子ども食堂で出会った一人一人に対してどのようにに接すれば良いのか一生懸命考え続け、それぞれの子の性格に合わせて徐々に距離を近づけることができました。
- エッセイの執筆経験や、お勧めのエッセイの執筆法を教えてください。
- エッセイに関しては高校2年生の冬頃から意識していました。日頃から自己分析をする癖があったので、忙しい中でも、課外活動等を通して感じたことをその場限りで忘れてしまわずに、深く考え続けることができていました。
エッセイを書き始めたのは高校3年生の夏頃からです。パソコンを前にしていきなりエッセイを書くことは難しいので、ホワイトボードを使ってブレインストームするなどの工夫をしました。マインドマップを活用することは高校生にもお勧めです。また、合宿形式のワークショップに参加したことも役立ちました。
いざ執筆を始めると、どのような構成や言葉で書くのか悩みました。過去の合格者のエッセイのパターンを分析するなどして、他人のエッセイに学ぶことも大切かもしれません。また、友達とエッセイを交換して読み合うのも良い経験となりました。
- リサーチ大学、リベラルアーツ大学の両方に出願したと伺いましたが、出願する大学はどのように決めたのですか?
- リサーチ大学、リベラルアーツ大学それぞれに良い点があります。元々大学で研究をしたいという思いが強かったのですが、研究の環境が整っているという点はリサーチ大学の強みです。リベラルアーツ大学はやはりコミュニティの緊密さがメリットだと思います。進学する可能性のある大学に関しては、出願前からそれぞれよく調べましていましたが、合格後も合格者向けの説明会の雰囲気などを確認しつつ、最終的にハーバード大学に進学することにしました。
学校の先生からは日本の大学のAO入試も受験するように勧められていたのですが、最終的には、自分が本当に行きたいと思った大学の出願に集中することにしました。
- SATの勉強法について教えてください。
- SATの勉強を始めた当初は取り組み方が雑だったのですが、徐々に丁寧に取り組むようになりました。問題数をこなすとともに、間違えた際に一度立ち止まり、なぜ間違えたのかを考えることが大切です。
- 推薦状は誰にお願いしましたか?
- 高校3年生のホームルームの先生にカレッジ・カウンセラーとしての推薦状をお願いし、学級委員や体育祭委員としての働きぶりに関して書いてもらいました。また、生物の先生と、学年主任でもあった古典の先生にも推薦状をお願いしました。研究でお世話になった大学の先生にも執筆をお願いしました。
- 海外大学進学に関して、周囲からの反対はありましたか?
- 学校は海外大学進学を積極的にサポートしてくれました。家族内では大学院から留学しても良いのではとの考えもありましたが、最終的には海外大学進学の意志を尊重してもらいました。日本の大学を受験せず選択肢を海外大学進学に絞ったという意味で、思い返せばリスクのある挑戦でしたが、奨学金の受給が早い段階で決まったことは追い風となったと思います。
- 海外大学に挑戦する中でやって良かったことはどのようなことですか?
- 人との繋がりを大切にしていました。例えば、課外活動のプログラムに参加した仲間との繋がりは、その場限りになりがちなのですが、プログラム終了後も積極的に連絡をとるように努め、繋がりを保つようにしました。友人、大学の教授など、学校外に頼りになる人がいたことは後々自分のためにもなりました。
- 受験のプロセスの中で一番苦労したことはどのようなことですか?
- 課外活動などに追われるあまり、いつも慌てている状態で、全体的に戦略性を欠いていた面がありました。睡眠時間やストレスにも気を配り、自分のベストな状態を保てるようにすべきでした。最終的に海外大学への挑戦に成功することができたのは、周りの人のサポートや運があってこそだったと感じています。
- 最後に、海外大学進学を志す中高生に一言お願いします!
- 自分の限界を決めてしまうのは自分です。時間の制約や自分の身体の限界を考慮しつつも、自分の意志に妥協せず、一日一日を大切に過ごしてください。時には辛いこともあるかもしれませんが、必ずその経験が役に立つ時が来るはずです。
編集者ひとこと
「周りの人に助けてもらったおかげ」「運が良かった」と謙遜するMさんですが、お話を伺えば伺うほど、Mさんが中学・高校時代からいかに精力的に活動し、いかに人とのご縁を大切にし、また、いかに自他の行動を深く考え、誠実に生きてきたのかが伝わってきました。海外大学挑戦にあたり、先生やご家族、ご学友が手を差し伸べてくださったのも、そんなMさんの姿を日頃から見てきたからに違いありません。その点で、「周りの人のサポート」や「運」も、Mさんの努力の賜物だと思います。取材にご協力いただき、ありがとうございました。